意識の変容
意識の変容
意識の変容
【世界観のようなもの変化】
一般的に、組織が本当に動くとき、その組織のリーダーには、何らかの形で、認識や世界観のようなものに変化が現れます。「世界観」というと大げさかもしれませんが、「この問題はどう捉えるか」というような「ものの見方」に変化が発生します。そのような変化を含めて、経営変革で体を張る者たちと波長合わせができてはじめて、組織で戦略は実行されます。
(未来を創る経営者・66ページ)
--- 小川政信 2010年5月26日
さて、この文は2008年の年末に書いた文章ですが、経営コンサルティングを行うなかで、非常に早い段階、そう、2年目、おそらく私が31歳ごろから痛感していたことです。
この文章は門下生の豊島氏が小川の著作から抜き出したものをランダムに選んだものですが、実は今日、書こうと思った内容は以下のとおりです。偶然、本質的には同じことを表現していることに気づきました。
【公案と境地】
公案とは、禅において師匠から与えられる、一朝一夕には解けない、かつこれという明確な回答がないかもしれない宿題のことをいう。宿題という言葉そのものが「宿す」課題である。では公案の本質は何か。それは我々の境地の変化、いいかえれば意識の進化なのではないかと思う。
我々は人生でも事業でも数多くの問題を抱えるわけだけれども、「境地が変化して始めて解が見えてくる」という性格のものがある。いや、経営課題をあえて分類すると、現場現実のメカニズムを解明し、多次元の戦略空間を駆使するものが一つ。もう一つのものが境地が変化して解けるもの、ということになるのではないだろうか。
いやいや、このような二分法自体が間違っているかもしれない。前者のニュートン力学的な問題解決法は、後者の人と組織の意識エネルギーの変容を促す前段階に過ぎないのかもしれないのだ。
キリスト教では汝自身を知れ、と説く。東洋では内観を重視する。いずれも我々一人ひとり、「自分自身が問題の鍵を握っている」ことを表現している、と思う。
経営課題には、我々の意識が変容すると異なる解が浮上してくるものがある。あるいは変容して始めて解けるものがある。
現場現実に触れると「はっとする」感覚を覚えることを私は重視してきた。現場現実は重要である、なぜならば第一に、現場現実のメカニズム解明というニュートン力学的世界から、解決策はスピーディに生み出しうるから。また第二に、認識の壁が謝った経営方向に導くことを、現場現実は防いでくれるから。だが第三には、現場現実を見て、ハッとするとき、我々の意識そのものが柔らかくなり、変容しやすくなるのではないだろうか。
ここでアライアンスやM&Aを考えて見よう。
人は、これまで慣れ親しんだ経営環境での仕事の仕方が続けられることを心地良い、と考えがちである。それは大脳生理学的に、「いまのままの環境が安全だ」と判断するというメカニズムが我々にはビルトインされているから、という説明もされることがある。
だが、今度はユングの集合的無意識のことを考えて見よう。あるいは仏教でも同じこと、我々の深層意識は深いところではつながっているのだと説いている。そうだとすると、アライアンスやM&Aによりこれまでと異なる者たちが協力して事業を行うようになることは本質的に宇宙の理に叶い、人の生き方に叶い、楽しいはずのことなのではないだろうか。
「そんなこと頭で考えたとおりに行くか」。もっともである。
頭で考えるのではなく、境地の変化で、自然に物事が進む、という世界が、人生にも経営にも、きっとあるのではないだろうか。
2010年5月26日水曜日